中山は動物問題についてどう考えているのかという声を聞きました。
中山は、これまでも議会内で殺処分ゼロや「動物福祉」に関して議会内で超党派の勉強会などを呼びかけてきました。
私の所属する緑の党でも、私が責任者となって動物関連政策を取りまとめ中で、以下はその暫定公開版です。
長いですがご覧ください。
緑の党グリーンズジャパン 暫定版動物政策集
2023 年 3月版
動物政策検討チーム(文責:政策部長 中山均)
緑の党では、動物関連政策について、現在の基本政策・自治体政策集の中から抜き出し、新規に追加したものも含め、動物問題に特化した課題別政策集のひとつとして整理する作業を進めています。
政策集としてはまだ完全に整った形ではなく、一部は方向性や必要な課題を示すにとどまっており、これ以外にも議論している課題もありますが、党内でおおむね合意できた範囲を、たたき台として公開します。■基本的考えと特に急ぐべき課題
・家庭・実験動物施設・動物園・学校飼育・畜産等におけるアニマルウェルフェア※1を確⽴するとともに、野⽣⽣物との共存や適切な管理を進める。そのため動物愛護法の周知・徹底と改正を進める※2。
・ペット動物取扱業者の免許制の導⼊と殺処分ゼロ※3 をめざす。
・畜産、学校、実験動物飼養施設や展示動物の飼育等に関し、動物福祉の観点から抜本的に見直す。
・動物福祉法のような法体系の整備をめざす。また、動物愛護団体への支援策を盛り込む。■家庭飼育・取扱業者規制等
・従来の殺処分中心の動物管理センターのあり方の見直し、保護施設、啓発施設への転換を図る。
・飼い主のいない犬猫の殺処分ゼロを目指すとともに、問題の背景にある課題の理解や啓発、不妊去勢施術への補助の充実と多頭飼育の規制強化を進める※4,5。
・取り扱い業者の規制を強化する※6
・飼育する人の責任を明確化する。
・動物の輸出⼊規制を強化する。■畜産関係
・工場的畜産を規制し、畜産動物のアニマルウェルフェアの確⽴・推進を図る。
・家畜飼料の遺伝子組み換え利用を規制する。
・課題:畜産現場で感染症対策によって外界と遮断されるようになってしまっている問題がある。■展示動物および闘犬・闘牛・闘鶏など
・展示動物の保護・規制を進める。
・動物を闘わせる行為を規制する(東京都、北海道、神奈川県、福井県、石川県ですでに条例で規制されている)。■実験等
・実験動物飼養施設の届出制の確⽴や⽴⼊調査を強化する。
・動物実験をできるだけ行なわないよう、代替手段を講じる努力義務を明確化する。■野生動物
・野⽣動物による農作物被害問題について、人間⽣活の被害だけでなく、持続可能な第一次産業や里山・里海との共⽣の観点から、動物の犠牲を可能な限りゼロを目指す対策を講じる※7。
・動物愛護法の改正(再掲)にあたって、野生動物保護の視点も盛り込む。
・リニア新幹線事業について、希少動物の⽣息への負の影響(絶滅の可能性含む)の観点からも計画に反対する。
・⽣物多様性の重要性も政策全体の中に盛り込む。■災害
・東日本大震災の経験を踏まえ、ペットだけなく、畜産動物・実験動物・学校飼育動物・展示動物などについての災害対策を進める。■食、狩猟・漁業など
・過剰な肉食を抑制するよう誘導を図る(フォアグラなどの問題も畜産現場の課題ととともに規制が必要)。
・学校給食や病院食でビーガンメニューなどの食の選択を可能にするよう施策を進める。
・毛皮製品などの規制を進める。
・鯨漁・イルカ漁などについて、苦痛を伴う方法の規制を進める。
・罠での狩猟を規制する(世界では禁止・見直しが進んでいる)。■教育
・学校施設での動物飼育については「ふれあい」から動物福祉の観点へと抜本的に見直し、動物の種の特性や多様性、命の大切さなどの教育を重視する内容へと転換する。◎参考(文中注釈番号の参照用)
※1 動物の福祉の指標となる原則として国際的に「①飢えと渇きからの自由 ②肉体的苦痛と不快からの自由 ③外傷や疾病からの自由 ④恐怖や不安からの自由 ⑤正常な行動を表現する自由」の「5つの自由」が提唱されている。※2 動物愛護法(2019 年改正)によって、家庭動物は不十分ながら「動物愛護法」で虐待かどうかチェックする基準と罰則が設けられたが、実験動物に関してはそれにあたるものはまだなく、動物実験の代替や削減のあり方が附則に記されただけとなっている。動物実験等については以下のような課題がある。
・各省(文科省・厚労省・農水省)で指針の運用を具体的に定めたものも特にない。文部科学省の動物実験基本指針は、動物実験を行なう研究者らによる自主管理となっている。
・日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」もあるが法的な遵守義務はない。
・動物実験計画の審査は同じ組織の人間だけでやってよいことなどの問題もある。
・飼養実験動物の⽴ち⼊り検査は静岡などで行なわれているものの、問題があっても調査・指導・罰則のしくみがない。また、国全体としてどんな動物が何匹使われているか政府統計もない。※3 犬猫殺処分数については 2020 年統計で犬猫あわせて 23,764 頭(ひきとり 72,433、譲渡・返還 49,584、譲渡返還率は 68,5%)。
(環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理] (env.go.jp))。※4 動物取扱業の抜き打ち検査などはいくつかの県で行なわれているが、少数にとどまっている。また、実験動物飼養施設については実態把握すら全く進んでおらず、条例で届出制をとっている静岡県・兵庫県のみが⽴⼊調査を行なっている。
静岡県は動物愛護法に基づいて定めた「静岡県動物愛護管理推進計画」に従って、実験動物飼養施設に年に一度の検査。施設名称や実験内容は公開されないながらも、施設の規模、年間実験回数や使用頭羽数、使用頭羽数1万匹を超える9施設のうち獣医師がいるのはたった一カ所であること、環境省が不適切とするエーテルが殺処分に用いられていること、マウス、犬、ウサギのケージサイズなどからも日本の実験施設は国際水準にないことが判明している(「日本の動物実験施設は国際水準にない 静岡県平成 30 年度実験動物取扱状況調査から│PEACE 命の搾取ではなく尊厳を」 (animals-peace.net))。
なお、兵庫県は届け出制としているが、毎年の訪問は行なっていない。※5 多頭飼育の規制を自治体の動物愛護条例に取り⼊れることが必要。現状では各自治体で対応がばらばらとなっている。
※6 日本では動物取扱業者は登録制になっているものの、EU 諸国や米国、台湾等で動物取扱業者は免許制になっており、本来、国の法改正が必要となる。自治体においては、こうした法制度の遅れが無責任な飼育や多頭飼育崩壊の背景にあることを理解し、実行可能な範囲で動物福祉を重視した施策の充実を図る必要がある。
※7 野⽣動物については、千葉県、滋賀県等が⽣物多様性維持の観点を施策に盛り込んでいる。
また、「新潟ワイルドライフリサーチ」(http://blog.goo.ne.jp/wiron_2011)は、農業従事者・行政・猟師による地域ぐるみとなった害獣対策ノウハウを提供している。